やさい広場 ちょっとした工夫とアイデアで楽しむ

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菜園体験記

●どの子を残すべきか、それが問題。野菜の間引き

とうもろこしいんげんきゅうり間引き菜

前回の訪問でトウモロコシ、白キュウリなどの種をまいて、一週間ちょっとが経ちました。今頃芽が出ているのではないかと、わが菜園に足を踏み入れると、思った通り、かわいい芽が出ていました。「種をまくと芽が出る」という行程は、実際に目の当たりにすると感動します。野菜によって芽の形が違うのもかわいらしく、まさに「野菜の赤ちゃん」です。色々な種をまいて、どんな芽が出るのか確かめたいものです。

芽が出ているのはいいのですが、よく見ると、同じ場所から2、3本出て、窮屈そうに伸びています。育ってきたラディッシュも互いを押し合い、狭そうです。満員電車の乗客が斜めになって手すりにつかまっている姿を連想しました。

「間引きして、スペースをつくろう」
まず同じ場所から出ているトウモロコシの芽を間引きし、勢いのある1本を残しました。まだ根が浅く、力を入れずとも簡単に抜けます。

大きくなって混み合ったラディッシュも間引きします。根が張っているのか、引き抜く時に抵抗がありました。少し力を入れると、地面から剥がすような感覚がして、引き抜けます。「収穫した」という実感がもてます。農耕民族のDNAに刻まれている快感なのでしょうか。抜いてみると、まだ根が充実しておらず、白く長い根が張っているだけでした。根の部分が太って、食べられるようになるのでしょう。

残ったラディッシュが伸びやすいように間隔をつくるべく、間引きしました。

次に紫ニンジンの間引きです。柔らかい葉でさわり心地がよく、いつまでも触れていたい気持ちになります。ニンジンの葉はキアゲハが好んで食べますが、さぞおいしいだろうと思います。虫の気持ちでしばらく触り心地を楽しみます。

最後に白キュウリ、オクラの間引きです。厚くまいてしまったのか、芽が重なり、混み合っています。同じ場所から、3、4本は出ていました。そこで、迷うのが間引く芽です。予習のために読んだ野菜の育て方の本には「勢いがあって、葉がしっかりして、真っすぐに伸びている芽を残す」と書いてあったのですが、芽を観察していると、勢いがあるが斜めに伸びていたり、葉はしっかりしているけど、茎がか弱いなど、どの芽にも多少の難があるのです。

どの芽を残すべきか、しばらく考えこみました。
「残した芽より元気な芽を抜いてしまった」という事態も起こります。あんまり考え込むと間引きできなくなりそうなので、直観でよさそうな芽を残すことに決め、他の芽を間引きしました。

乱暴に抜くと、残そうと思った芽も一緒に引き抜いてしまったり、周りの土も一緒に持っていってしまい、他の芽がぐらついたりするので、慎重さが必要です。小さい芽であれば、ピンセットで抜くのもいいかもと思いました。

白キュウリの芽は引き抜くと、キュウリの爽やかな香りがします。パックで売られているキュウリにはない強い芳香。芽のときから、キュウリの香りがするなんて、感動です。根に鼻を近づけると、瑞々しいキュウリの香りに食欲がわきました。思わず、芽の土を落として、食べてみました。たしかに、キュウリの味がします!よく八百屋さんやスーパーで売られているスプラウトは野菜の芽のことで、最近ではブロッコリー、紫キャベツ、ピーナッツなど色々な野菜のスプラウト(芽)が流通しています。ビタミンが豊富で、がんを予防する抗酸化作用のある物質が豊富に含まれているそうです。キュウリ・スプラウトもおいしいはずですね。

●スタッフさんに教わって、支柱立てに初・挑戦!

中玉トマトとマイクロトマトトマトの花セリ支柱立て支柱立て支柱立て支柱立て支柱立て支柱立て支柱立て

前回の訪問から間が空いてしまいました。初訪問から週1くらいのペースで通っているのですが、都合で2週間空いたことがあったのです。わが農園はどうなっているのだろうと焦り、エレベーターに乗るのももどかしく、チッターファームに向かいました。菜園に足を踏み入れると、中玉トマトとマイクロトマトが伸び放題になり、整えていないレゲエ・ヘアスタイル風になっています。

野菜の生長を侮るべからず。
多くの野菜は1年以内で結果を出すので、生育が思う以上にはやいです。一番の生育期に2週間見ないというのは、痛恨の失敗でした。

前に立てた支柱の横から脇芽をぐんぐん伸ばし、もはや役目を果たしていません。根元を見ると、6本に枝分かれしています。初期に整理すればよかったものの、時間が空いてしまったために、すっかり生長しています。さらに、地面をほふくするように、横へ横へと伸びているのです。中の方の葉に太陽が当たらなかったのか、黄色く変色していました。トマトといえば、垂直に伸びるイメージがあったのですが、手を入れなければ横に伸びてしまうようです。しかも、図々しくもお隣さんの区画まで伸びているじゃありませんか。

「なんとかしなくては...」
脇芽をかき、支柱を立て直さなければならないのは明らかなのですが、もはやどの枝を残して、どこを摘み、どのように支柱を立てれば、いいのか検討がつきませんでした。それくらい、トマトがぼさぼさになっていたのです。バジルも絡まって、事態は困難を極めていました。事件であれば、迷宮入り寸前です。

チッタファームのスタッフ海老名さんに、「支柱の立て方を教えて下さい」とお願いしました。ひとりだったら、途方に暮れていたことでしょう。

「ぼさぼさになってしまいました」と伝えると、海老名さんは優しく、的確なアドバイスをしてくれました。

「脇芽がけっこう伸びちゃいましたね。まず下の方の脇芽を落とし、6本もあるので、しっかりしたのを残して、3本仕立てにしましょう」

残す3本を決めて、後の枝を切り、支柱を立てます。土が固くなっているので、力を入れてしっかり支柱を差し込みます。

「支柱は囲むように4本立てます」

「支柱同士が支え合うように、上をしばるんですね」

三角錐の形になるように、支柱を立てていきます。支柱に沿うようにトマトの枝をくくりつけました。

「縄を8の字にして、余裕をもたせて、くくりつけます」

茎と支柱を8の字になるように麻縄で結びつけます。横にはっていた茎を持ち上げて、残りの脇芽をかきました。見る見るうちに、トマトが上へと伸びるのに適した姿に変わっていきます。きちんと手入れすることで、ここまで姿が変わるとは!
私も外見への手入れを怠らないようにしようと、トマトを見て思いました。人間も野菜も手入れ次第で、かなり、いや相当に変わるのです。

整理した葉がこんもりと盛り上がりました。まるで散髪後です。

「これで陽が当たるようになりますよ」と海老名さん。

「ありがとうございます」

「後は下の方になっている実をもったいないですが、摘果しましょう。梅雨の時期は葉を茂らせて株を大きくしたいので、今の時期は摘む方がいいですよ」

下方でなっている青いトマトを摘み取りました。これからよく育ちますようにと、願をかけます。

横に伸びていたマイクロトマトも同様に脇芽をかき、支柱を立てます。三角錐の形になるように、株を囲んで4本支柱を立てました。

「行灯(あんどん)仕立てにして、株を持ち上げましょう。これで、風通しが良くなります」

と海老名さん。チッタファーム備え付けの麻縄を支柱をつなぐように張ります。

「支柱の2節ごとに麻縄をはります。伸びてきたら、また追加しましょう」

しだれていたマイクロトマトの枝を時計回りに巻きつけました。伸びる方向を決めるために、芽の先を支柱にくくりつけ誘引します。

「ビフォアアフターってくらい、変わりましたね」と私。

「まんべんなく陽が当たり、風通しを良くするといいんですよ」

「手を入れると美しい姿になりますね。野菜は人の手が入ってこそです。ところで、バジルも元気がないんですけど...」

この際、何でも聞いてしまいます。

「混み合って蒸れたのかもしれませんね。切り戻して、風通しを良くしましょう」

花芽がついている先端から2、3枚の葉がついている枝まで切り戻しました。切った葉は収穫して使います。

芽を伸ばすべき場所がなく、互いに絡み合っていたインゲンのツルもほぐし、支柱を立てて絡ませました。最後に海老名さんのワンポイントアドバイスにより、固くなった畑の土をスコップで掘り返し、空気を入れるようにして、土を柔らかくしました。こうすることで、根が伸びやすくなり、生長しやすくなるそうです。

スタッフさんがいてよかった!心から思います。

●はじめての収穫&料理(トマトサラダ)

ラディッシュラディッシュきゅうりスイスチャードサラダ

双葉の時期はすぐに過ぎ去り、野菜は生長をつづけます。

ラディッシュも大きくなり、土から赤い根を覗かせていました。いよいよ初めての収穫です。喜び勇んで引き抜きました。ところが、簡単には抜けません。根が充実しているからか、間引きした時よりもさらに強い抵抗がありました。地面から無理矢理はがすような感覚があります。

マンドラゴラのように、抜く時に悲鳴が上がったら面白いのですが、別段悲鳴は上がりません。当たり前ではありますが。

はじめて収穫した野菜を水洗いし、葉を整理して袋に入れました。収穫が多くなる時期には、専用の袋を持って行った方がよさそうです。

収穫したラディッシュは早速薄切りにし、水にさらしてから、マヨネーズをつけて食べます。野菜の甘味が強く、下の方はぴりっと辛い。売っているものに比べ、形はいびつですが、とりたてはおいしく、味が濃いです。

収穫したバジルはトマトとモッツラレアチーズのサラダに入れました。つくりかたは簡単で、トマトを一口大に切り、モッツラレアチーズとバジルを加え、イタリアンドレッシングで和えるだけです。みじん切りにしたタマネギを加えても、おいしいでしょう。よく冷やしてから、食べました。

摘んですぐのバジルの芳香がサラダ全部にいきわたっています。ハーブはフレッシュなものに限ります。ドライ・ハーブで熱乾燥しているものは、香りが飛んでいることがあるのです。スパイシーな香りがよく、これから追々収穫するバジルをジェノバソースにするのもいいなと思いました。ジェノバソースは、バジル、ニンニク、松の実、オリーブオイルでつくるイタリアのソースです。パスタに絡めても、トーストしたパンにぬっても美味です。

バジルのサラダは冷製パスタの具にしてもおいしいでしょう。

何よりも、自分で種から育てた野菜だと思うと、愛情もひとしおです。食べ残しをしようという気持ちになりません。大事に育てたかわいい我が子を食べるというのは、一見つらいことかもしれませんが、大事に育てた我が子だからこそ、食べてしまおうとも思うのです。なにか変ですかね!?

とにもかくにも、とりたての野菜はおいしい!これは、もう断言できます。

木谷美咲(きや・みさき)
木谷美咲(きや・みさき)